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十四歳の少年の話です。自転車で通学する道で、一軒の家が目に留まりました。エントランスには緑が豊かに茂り、その奥に木壁の家がひっそりと佇んでいました。決して華やかな家ではないけれど、その姿に不思議な美しさと心地よさを感じ、強く記憶に残ったそうです。
少年は大人になり、その記憶に導かれるように、家をつくる仕事に就きました。そして、数年後にあの家を思い描きながら、自分の木の家をつくりました。
かつて少年が見た通学路の家は、今も同じ場所にあります。庭木が育ち、大切に手入れされて味わいを増した木壁は、住まい手が美しい暮らしを重ねてきた時間を物語るように、静謐な存在感を放っています。
街角で出会った一軒の家。少年が大人になって建てた家もまた、道行くだれかの記憶に残っていくといいなと思います。



































