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床に物を落としてアッ、柱に荷物が当たってアッ…。どんなに気を付けていても、日々の生活の中で家のあちこちにキズはついてしまうものです。やってしまった…と落ち込むものですが、家族と幸せに暮らすためにつくった家ですから、少しのキズやシミで気分を害するよりも、そういうものだと受け入れてしまった方がいいと思います。人が暮らす家は、美術館のように整った空間よりも、ふだんの生活を受け入れる、いい塩梅の大らかさがあると気が楽です。
木の家ならば、キズを自然に受け入れ、むしろ味わいが深まっていきます。ある人は柱についたキズを、子どもがつけた思い出のものだからと、愛おしい記憶と共に大切にしているそうです。どうしてもキズやシミが気になってしまうという場合は、素材が木であれば、表面を少し削ればその痕跡を消すこともできるので、ゆったり構えておきましょう。
時が経てば古くなるばかりでなく、経年変化で味わいが深まり、家族の暮らしと共に記憶が刻まれていく。そんな家で暮らしたいものです。