60代、今だからこその家づくり。 夫婦と猫の「らしさ」全開スタディハウス×DIY暮らし | シンケンスタイル - 福岡・鹿児島・熊本
お気に入りに囲まれたキッチン

60代、今だからこその家づくり。
夫婦と猫の「らしさ」全開
スタディハウス×DIY暮らし

夫婦二人、
家育てを楽しむ日々。

田畑広がる緑の丘にちょこんと建つ小さな木の家。パッと見はシンケンのシンボル「スタディハウス」そのもの。
しかし、ひとたび玄関ドアを開ければ、世界が変わる。ここは、カフェなのか雑貨屋なのか、それとも本当に家なのか――。

丘の上に建つ、すっぴんのスタディハウスの外観""

この家に住む福元夫妻を訪れたのは、築半年が過ぎた2026年春。しかし、一歩足を踏み入れた瞬間「すごい……!」と感嘆の声が漏れた。

それもそのはず、玄関ドアを入って右手には、壁一面にプレイウォールが。
そこには古い珈琲の缶や雑誌、レコード、外車のナンバープレート、帽子に観葉植物など、ありとあらゆるものがぎっしりと並んでいる。が、決して雑然としているわけではなく、あくまで自然に、そしてセンスよく見える不思議。
かと思えば、反対側ではレトロなガラス戸の靴箱が存在感を放ち、土間玄関の床板は黒と淡いグレーの幾何学模様に塗り込まれている。

言うなれば、空間全体がアンティーク雑貨屋さんのよう。

  • お二人のアイデアと工夫が詰まった土間スペース。床もDIYでペイント
    思い入れのある品々が彩る土間玄関。ペンダント照明も、長年愛用してきたもの
  • 壁のディスプレイから、玄関ドアの暖簾も自作。センスが光る width=
    玄関ドアには、お友だちからもらったフランスのハンカチをつなぎ合わせたカーテンを

そしてキッチン・リビング空間に入ると、さらなるときめきの瞬間が訪れる。

長年連れ添った好きなものたちで彩ったキッチン・ダイニング

主に廃材を利用した夫・勉さんお手製の家具、妻の喜代美さんが羊毛で作ったクッションや革をつぎはぎして作ったニーチェア、「(自分の名前からとって)リサラーソンならぬ、キヨラーソンよ♪」と紹介してくれた、3匹の猫ちゃんの手作りオブジェ―― 当人たちが自覚していないであろう、天性の物づくりの才能と審美眼が集結した、個性あふれる空間が広がっている。

  • さまざまなものが飾られた個性あふれるプレイウォール
    心地よいくつろぎスペース。プレイウォールのCD棚は勉さんのお手製
  • ニーチェを革の端材でリメイク。クッションも自作。
    喜代美さん手作りのニーチェアと羊毛クッション。時を経るほどに味わいが増す
  • 猫のオブジェは喜代美さんの手作り。キヨラーソンと命名。
    陶芸もかじる喜代美さん。手作りオブジェの猫ちゃんたち

「すでに20年くらい住んでそうねって言われるんですよ」と笑う喜代美さん。
そうでしょう、そりゃあそうでしょう。訪れた人を魅了する、圧巻の世界観。これだけの空間を、わずか半年で築き上げたとは信じられない。

さらに驚いたのは、喜代美さんが見せてくれた昨年8月末に引き渡しされた際の写真だ。
「まだ建築途中?」というレベルでの引き渡し。キッチンの作業台もシンク下の収納もない、階段の手すりも、造作の家具も、おまけにトイレの扉さえない――がらんとしたザ・スケルトンハウス。
二人はあえて、ここから家を育てていくことを選んだ。

  • 引き渡し時のすっぴんのようす。ここから夫婦2人で暮らしを作り上げた
    引き渡し時の1階リビングスペース。がらんとしている
  • シンプルな階段、手すりは入居前に知り合いに作ってもらった
    階段や2階吹き抜けの手すりは、このあと勉さんの知り合いの鉄工所にオーダー
  • 入居時のキッチン。その後は夫婦でアイディアを出し合い作り上げた""
    キッチンもザ・シンプル。その後、シンク下の収納などはすべて勉さんが手がけた

引き渡し後、二人がまず取り組んだのは床の塗装。床板には、あえて節のあるものをチョイスした。コストダウンの目的もあったけれど、「節ありのほうが、味があるから」。気になる節穴はレジンで埋めたり、ボタンをはめ込んだりしたというお茶目っぷり。

その後、土間の床の色を塗り、トイレの間仕切りを作り……あらかた生活できるところまで整えてから引っ越しをした。それ以降も、夫婦二人、コツコツ手を加えながら「家育て」を楽しんでいる。

「(スタディハウスの) DIYできる、手を加えて楽しめる、それらを許して受け入れてくれるところが好き」。
家の隅々までアイディアと「らしさ」が行き渡った心躍る空間と、大きな吹き抜けや窓がもたらす、おおらかな雰囲気。明るいリビングから臨む庭は、草花の芽吹きや成長がよく見え、庭いじりも楽しみの一つになった。

  • 春の庭。四季折々の様子を想像する楽しみがある
    「庭が近くなった」と喜代美さん。先々を想像しながら手入れをするのが楽しみ
  • アプローチも手作りした。段々とご夫婦好みに仕上がってきている
    玄関に続く柔らかな緑のアプローチ
  • 春の芽吹きを感じる庭と木の家 width=
    新芽の成長や庭の変化が感じられる日々

ちなみに福元夫妻の暮らしっぷりには「これぞスタディハウス!」と、シンケンの迫社長も太鼓判を押す。

しかし、現在お二人は60代。夫・勉さんにいたってはもうすぐ70歳。このタイミングでの家づくりや住み替えに、不安はなかったのだろうか。

 

いざ冒険。
人生と、家づくりの美学。

お気に入りの器たちでお茶タイム

「60代からの家づくりはまさに冒険でした」(喜代美さん)。

資金面、体力面――若いころとは違う不安や壁は当然あった。しかも、すでに持ち家もある。結婚当初に建てた、築42年の平屋の家。三人の娘たちを育て、洗面台を作ったりと、勉さんがあちこち手を加えた思い入れのある家だ。

ただその家は、広いこともありとにかく寒かった。冬場はヒーターの前でないと着替えができず、いちばん奥の作業部屋に行くときには「ちょっと北海道に行ってくるわ」と冗談を飛ばしていたほど。

「暖房があっても寒くて、部屋にいるだけで足が震えたんです」(勉さん)。

一日の多くの時間を過ごすダイニング。外とつながる気持ちのいい場所

やがて子どもたちも独立し、夫婦二人に。そんなとき頭をよぎったのが「シンケンで家を建てたい」という思いだった。
実はお二人、結婚当初の昭和59年ごろからシンケンの存在を知っていたのだ。心の奥底で惹かれつつも、当時はご縁なく断念。でもその後も見学会やモデルハウスに足を運ぶなど、緩やかに繋がっていた。そして、時はコロナ禍へ。


「改めて、自分たちは家が好き、家で過ごす時間が好きなのだと再認識したんです。
本当は、老後はあちこち旅行しようねって言い合っていたんですが、コロナ禍を経て、情熱を注げるものが(旅行ではなく)家での暮らしだということに気づきました」(喜代美さん)。

  • この家に暮らすようになってお料理も楽しい!と、手づくりのケーキでおもてなし
    この家に住んで料理が好きになったという喜代美さん。お菓子作りも楽しむ
  • キッチン台は、元々テレビ台。お気に入りの器がおさまる引き出し
    キッチンの作業台は、前の家ではテレビ台として活躍していたもの
  • 勉さんが20代のころに購入したレコードプレーヤー。まだまだ現役
    勉さんが20代のころに購入したレコードプレーヤー。まだまだ現役
  • 2階の通路を彩る長年集めたレコード
    レコードはざっと200枚~。2階の吹き抜けからしっとりした音を響かせる

そして「自分たちのことを考えよう。ふだんの暮らしを充実させよう」と思いを新たにし、喜代美さんがご先祖さまから受け継いだ日置の土地に家を建てることを決意。

ただ、年齢のこともあり、銀行からお金は借りられなかった。しかし「じゃあ、諦めよう」とはならないのが福元夫妻のしなやかさ。それならばと「ここまでしか出せない」というラインをあらかじめ決め、家づくりをスタート。
前の家で使っていた家具たちも、図面を見ながら「ここに置こう」と二人で相談。足りないものは作り、「次はこういうのがほしい」と楽しい想像を膨らませる日々だ。

  • DIYDで、自分たちの手で家に手を加える楽しみを残した家
    空の下での木工作業。「この家は、自分の思いを表現できる場所」
  • テレビの上に設置した棚もDIY。夫婦で意見を出し合いながら、場所や形が決まった
    1階リビング奥のスペース。手作りのカーテン越しに柔らかな光が入る
  • キッチンの収納棚も、自分たちの手づくり。持ち物にあわせてつくられている
    蚤の市で見つけた掘り出しものなど、こつこつ集めた雑貨で賑わうキッチン
  • キッチンのタイルも、夫婦でDIY。骨の折れる作業だったが、仕上がってみると世界に一つの愛おしい壁に
    キッチンのタイルは、もともと手元にあったものを「合うかも!」と貼った
「この家に住んで、二人とも元気になった。前の家では活かされなかった物たちも、この家では活かされている気がします」(勉さん)。

そう語る勉さんのノートには、これまで作ってきたもの、作りたいものの設計図がぎっしり。もともと家具のデザイン会社で働いていた勉さん。30代ごろからは趣味でも木工仕事を始め、喜代美さんの「ここのすき間に調味料ラックを作って」というリクエストにも嬉々として応える。

ぎっしりアイディアが詰まったDIY作品の設計図ノート

家づくりは、二人の「楽しい」をとことん追求した、新しい冒険だったのだ。

 

60代、スタディハウスに
魅せられて。

「友人たちにはよく思い切ったねと、目を丸くして驚かれます。平屋から二階建へは年齢的に逆じゃないの?って」と笑う喜代美さん。

でも、そこは考えよう。逆にこの歳だからこそ階段で鍛えられるのではないか――喜代美さんは、そう言いながら軽快な足取りで階段を上り下りする。

60代、軽快な足取りで階段を上り下りする奥さま
階段は10段。一般的な家に比べると2階も近く、行き来しやすい

スタディハウスを選んだ理由を聞くと「ちょうどいい、小さな家」とお二人。
値段がわかりやすく、予算内に収まること。一階だけでも生活が完結できて、一人になっても暮らすイメージが持てたこと。
そして、何よりも家の中が暖かく、行動意欲がアップ。エアコンの風もよく回り、光熱費もぐんと安くなったetc、住んでからわかるうれしい発見もあちこちに。

大きな吹き抜けに面したリビング。光と風がおおらかにそよぐ

「スタディハウスを見たときに、収納への不安はなかったですか?」と聞くと、喜代美さんは「(収納スペースが)少ないかなって思いはありました」と正直に答えてくれた。
「でも、あればあるだけ収納しちゃう。結果、モノが増えちゃうから、収納は少ないほうがいいのかも」。

ただ、両親から引き継いだ思い入れのある家具たちはこぞって連れてきた。すると不思議なことに、必要な場所にピッタリと収まったのだ。
ぐるぐると回遊できる設計が特徴のスタディハウスは、部屋の隅々まで余すことなく使えるのが大きな強みで、住まい手の家族構成や暮らし方によって、居住空間にも、収納スペースにもなる。

間仕切りのない二階は、主に二人の作業場と寝室。仕事用のパソコンブース、革専用のミシンブース、勉さんの愛するレコード、喜代美さんの大好きな着物たち――お気に入りの家具や雑貨が空間を緩やかに仕切り、レコードの音色も吹き抜けを通じて家全体を心地よく包む。
スタディハウスの魅力が福元夫妻のライフスタイルにしっくりと馴染み、暮らしの心地よさを醸し出している。

  • 2階 窓辺の明るい裁縫スペース。窓の向こうには美しい景色
    2階 には窓の外を眺めながら没頭できる作業スペースが
  • お気に入りのミシンで、革仕事をする喜代美さん
    愛用している革専用のミシンは、SEIKOのアンティークもの
  • オープンな2階スペースは、コーナーごとに使い方が分けられた機能的な空間に
    作業スペース、寝室、収納を兼ね備えた2階。孫たちは寝袋持参で泊まりに来る

ちなみに、福元家にはお風呂がない。シャワーブースはあるが、浴槽は設置しなかった。
営業担当さんから、「浴槽なしで本当にいいんですか? 本当に?」と何度も念を押されたが、「いいんです」と決行。
浴槽分のスペースを別のことに使いたかったし、親の介護を経験した際に、浴槽に(人を)入れるのがものすごく大変だと痛感し、シャワーで充分と判断。幸い鹿児島には家族湯がたくさんあるし、今後、庭に露天風呂を作る計画もあるしと、潔く二人のスタイルを貫いた。
得られたスペースは、こだわりの手作り洗面コーナーに変身した。

  • 洗面スペースは、お手持ちの鏡を設置。収納もお手持ちの小物入れを使ったらしさを感じるディスプレイ
    古いミシン台をいかした身支度スペース。お母さまが愛用していた裁縫箱には眼鏡や化粧品を
  • シャワー室の入口には自作の収納棚。高さを変えられる工夫も。
    タオル類はシャワーブースとの仕切り壁に。アイディアですっきり収納
  • シャワー室も、トイレも風通しのいいオープンな空間にDIY
    トイレの間仕切りは可動式(勉さん作)。使わないときはオープンにし、空間も広々

「荷物はだいぶ減らせたし、本当に必要なもの、そうでないものが決められ、よい機会になりました」と、喜代美さん。この年齢だからこそ見えるもの、決断できることがある。

 

新しい毎日、
新しい生き方へ。

のどかな風景に佇むスタディハウス

それにしても二人はどうして、ここまで思い切ることができたのだろうか。

「前の家には42年住んで、愛着もありました。でも、先を見たときにこれまでと変わらない毎日が見えた。どうせなら、今までとは一緒ではない、楽しいことができる毎日にしたい。
未来のステージに行けるような新しい生き方をしたいと思うようになりました」(勉さん)


前述の通り、お二人は、それぞれ親の介護を経験。一時期は介護のため別々に暮らしていたことも。
その際、喜代美さんは自分の親に対して「毎日をもっと楽しんで生きてほしいのに、なぜそんな風に考えてしまうの」と歯がゆく感じることもあったそう。自分の娘たちには同じ思いをさせたくない ―― 何よりも、自分自身が後悔したくない。

さまざまな経験をしてきたからこそ、家づくりにも、日々の暮らしにもその思いが生きている。

リビングで本を読んだり、おしゃべりをしたり。夫婦でアイディアをシェアする時間にも
夫婦で語らう空間も、一人で好きなことをする空間も。小さい家でも居場所はあちこちに

年を重ねるにつれ、頭や胸の内にこびりつく、世間一般的な常識や他人の言う「普通」。そういうものにとらわれず、シンプルに「自分たちにとって必要なもの」「何があれば楽しいか」を追求する姿は、本当の意味での心豊かな暮らしを教えてくれる。何より、二人の朗らかでエネルギッシュな人柄に、誰もが吸い込まれるように魅了されてしまう。

住む人に、日々の暮らしを慈しむ心があるからこそ、空間が豊かで彩りあるものになるのだ。

愛猫のこめこちゃん。人見知りだったのに、この家に暮らして人好き
になった
愛猫のこめこちゃん

ちなみに、福元夫妻の毎日は、穏やかながらも忙しい。今後はキッチンの貼りかけのタイルも完成させたいし、雨どいやデッキを作ったり、バイク(5台分!)のガレージや露天風呂を作ったり、庭づくりも――と、老いる暇もない。

朝起きて、「今日は何をしよう」とわくわくできる日々。一日一日をつなぎ合わせていく歩みの中に、二人の愛ある幸せがある。

自然に包まれて自分たちらしく暮らすご夫婦とスタディハウス

取材・文/本山聖子

 

・場所:鹿児島県日置市
・敷地:敷地面積168坪/延床面積24.03坪
・完成:2025年8月 STUDY HOUSE

writer

取材している"私"について

文筆家。出版社勤務ののち、フリーランスの編集者・記者として独立し、はや18年。

シンケンの家に憧れて東京→鹿児島に移住し、2024年より念願の住まい手になりました。

現在は、うれしいご縁に導かれ、シンケンのお家に取材に行ったり、移住サイトのお手伝いをさせていただいたりしています。
日々の楽しみは、家庭菜園&ご近所さんとの交流(外飲み)です。