- HOME
- > 理想の暮らしを探す旅
- > 6人家族の12年<…
6人家族の12年
「家と住まい手は育ち合うもの」
6人家族の12年
「家と住まい手は育ち合うもの」
もくじ
6人家族、12年目の住まい
暮らしを楽しみながら、地域コミュニティのお手伝いにもいそしむ奥さま・麻美さん。
子どもたちは、19歳の美南海(みなみ)さん、15歳の海陽(かいよう)くん、 13歳の遥海(はるか)さん、そして5歳の彩(あや)ちゃん。
“海”とのつながりが響いてくるご一家だ。
こちらは4年前の写真。子どもたちの成⻑に驚く!
愛用のストーブを灯してもらいながら、お話を聴いていった。
「シンケンの家と出会い、理想の暮らしを探す」
「シンケンと出会って、先輩の住まい手さんたちの背中を追いかけてきました。 私たちが10年ってことは、先輩たちはさらに10年先。いつまでも追いつけないんです!」と奥さま・麻美さん。
おふたりに、あらためてシンケンとの出会いを伺った。
拓馬さん
14年前の冬でした。外が吹雪く中、サーフィン仲間の前田さんに「遊びに来いよ」って誘われて。まだ2人だった子どもたちと行くと、入った瞬間、「この暖かさはなんだろう?」と思いました。包み込むような暖かさで、心地よくて。
前田さんちはみんな半そで半ズボン。外はあんなに寒かったのに、家の中は夏の装いで。「うわ、いいな!」と。
麻美さん
本当に衝撃で、「こんな風に暮らしたい!」と思いました。
その頃の家には満足していたので、家を建てるなんて考えてなかったけど、ガツンときて。
子どもの根っこの部分は“育つ場所”がつくると思っていたから、「こんなところで育てたい」と思いました。
拓馬さん
暖かいだけじゃなくて。前田さんの暮らし方、持っているもの、やっていること、そして考え方・・・
そのどれもが家とうまくからみ合ってて。それがすごく伝わってきたんです。
拓馬さん
最初に訪ねたのが「ひらしまクリニック」さんで、こちらもまた衝撃でした。ご自宅をシンケンで建ててすごく良くて、クリニックの集会所も建てることにした、その完成見学会。
大きくてすごく素敵な診療に来た高齢の方がお茶を飲んで帰れる、スペースで。シンケンで建てる人の感性に触れて、ますます惹きつけられました。
それから、60〜70軒くらいは見ましたね。そうする中で「自分が願う暮らし」と出会っていくような時間でした。
麻美さん
私の理想は、「子どもたちが奪い合う実家」(笑) そして、孫たちも住んでいくような。
それで、この家の横にまたシンケンの家を建ててくれたらいいなって思ったり。
村みたいになったらおもしろいな。
拓馬さん
当時は今以上に個性のあるお宅が多くて、住まい手のこだわりを感じました。今も完成見学会があると行って、「絵画鑑賞」みたいに、目を肥やして、暮らしを豊かにする探求を続けています。
今でも「あの空間をもっとうまく使うには・・・」とかずっと頭をひねり続けてますね。
時間を重ねるほど、味わいを深める家
拓馬さん
この家で12年。家族ひとりひとりの成⻑の物語があるし、家も一緒に育ってきたように思います。
白地だった木が、陽に当たってだんだん飴色になって、渋くなってきた。
これを目指してたから、嬉しいです。柱にほおずりしたいくらいですね(笑)
木は、長く陽にあたって色が変わっても、“味わいを深めている”のだと感じられるし、家族がつけた“傷”も、そこに思い出がひもづいて、懐かしく感じられる。
陽の光、歳月、家族との触れ合いを受け止め、
年月とともに“古くなる”のではなく、家族と共に“歳を重ねる”。
木って、すごい。
拓馬さん
家族とともに、木も呼吸して生きてるのを感じます。それは、シンケンの家が“隠さない家”だから。
ふつうは壁紙を貼るようなところも、そのまま構造材が見えてる。だから呼吸ができる。
同時に、“うそのつきようがない”建て方でもあって。作業が丁寧だからこそ、これができるんだと思う。
隠しごとがないから、安心感があるんです。
シンケンの住まい手同士のつながり
麻美さん
シンケンの家に住むようになって、他の住まい手とのつながりが広がりました。
シンケンをいいなと思った人たち同士、価値観が近いから、お互いに「これ好きだろうな」と分かち合いたくなるんです。
なんか、「学びの場」って感じで。道場みたいな感じもします(笑)。 暮らし、料理、雑貨、子どもの年齢と間取りの工夫、などなどたくさん。
“家”という共通点のある人たちとたくさん出会えて、それが楽しいんです。
“シンケン”でつながっている人たちの間でも、同じようなことが起きてるのかもしれない。 「シンケンの家に住んでるってわかると、すぐ仲良くなって、お互いの家に遊びに行くとかできちゃう」って、けっこうすごい。
シンケンの家に住んでいることで、すでにたくさんのものが共有されているんだ。
住まいと人生が響き合う
拓馬さん
サーフィンを始めて20年以上ですが、この家に住んでから体験の質が変わりました。
「サーフボードを持って海へ行く。海と空の間には自分だけ。そうして、きれいになって帰ってくる」という中で、家が大切な基地になっていて。以前とは違う物語がそこにあるんです。
僕らは、家を育てていく。
そして今度は、僕らが家にふさわしい生き方をしていく。
家と、家族の生き方がぴったりとからみ合うような。だから、家を建ててゴールではなくて、そこからまた始まっていくんだなと思うんです。
「家を生かすも殺すも、自分次第」ともおっしゃる拓馬さん。住まい、暮らし、人生が重なって見える。
麻美さん
私はサーフィンはしませんが、主人が大会に出場するときには家族みんなでついていって。
テントを張って他の家族とも一緒に数日間過ごすんです。いろんな年代の子どもがいて、そこで育ち合う環境がすごくいい。“海は人をつなぐ”んですよね。
サーフィンがなかったら、子育ても、家も、ずいぶん違ったと思います。
そこから、家も含めた住まい手の人生が紡がれていく。
家って、本当に大切な存在なんだな。
自然と、火と
拓馬さん
ここに住んで、「自然と共に生きる」ように暮らしたいって願いが自分の中にあったことを知りました。
麻美さん
子どもたちと田んぼもやったり。ここで、感性が磨かれているんじゃないかな。人の意見に左右されるのではなく、自分にとって大事なものを大切にできるような根っこが、育っていると思います。
そのあとも、火が落ち着く中で光る“熾(おき)”を「ずっと見ていられる」と眺め続けていた。
そのあとやってきた5歳の彩ちゃんも、火吹き竹で火と戯れる。
自然、そして火とともに育まれる、人の大切なところに触れるようだった。
“これから”に願うこと
麻美さん
ここに、人が集まれる空間をつくりたいんです。そのための情報収集をずっとやってる感じ! アンテナを張り巡らせて、いろんな経験を積んで、体感してます。ここを楽しく使ってもらえるように。
そして、子どもたちに、親以外の大人にたくさん触れてほしい。いろんな見方や選択肢を知っていてほしいんです。
拓馬さん
この暮らし方、この感覚を、もっと外にも広げたい。「こんな暮らし方もあるんだよ」と。次の世代にも。
そして、目と心を肥やす生き方をずっと続けたいですね。ささいなことにも豊かさがある。物質よりも、心の豊かさ。“本物”に近づき続けたいと思ってます。
自分にとってそれは、世界平和にもつながることだと思っているから。
こちらこそ。本当にありがとうございました。
取材日:2020/1/13
取材を終えて
「自由になる家」を考える
“住まい手が自由になる“という、シンケンが特に大切にしていることの意味が、段々とわかってきた。ような気がします。
まず、間取りの工夫のしやすさ。
子どもの成⻑とともに間取りを変えたいとき、柱などが表に出ているから、何かを取り付けるといった加工がしやすい。成田家では何十回と模様替えをしたそうです。
それから、家の中の快適さが生む自由さ。
家全体が、夏は涼しく、冬は暖かいから、好きな場所で過ごせる。だから、家の空間全部を広く使えます。
今回、真冬でしたが、子どもたちは特に厚着でもなく、家の中のいろんな場所でそれぞれ過ごしていました。特に寒さでちぢこまる冬、「家全体があったかい」ことは、普段の暮らしをとても自由にしてくれます。
そして、固定概念にとらわれないような、自由な考え方。
もちろん個人差はありますが、「家は自分たちが願うように手を加えることができる」手応えを持っていて、自然をいつも身近に感じ、変化する素材である木に囲まれて年月を重ねる中で、柔軟で自由な考え方が育まれるのではないでしょうか。
・・・いろいろと考えてみました。あながち外れではないのでは。引き続き、家と住まい手を通して、私も探求してみようと思います。
・場所:鹿児島県日置市
・敷地:1014㎡(307坪) 1階:63㎡(20坪)2階:51㎡(15坪)
・完成:2008年7月
”私”が知った
シンケンの住まいづくりメモ
“木”の再発見
資金面で受けた頼もしいサポート
“シンケンウォッチャー”(シンケンの家をたくさん見に行く人)
こちらのお住まいの
実例集
取材している"私"について
はじめまして。鹿児島県 霧島市の海の目の前、友人たちと改修した古民家に、妻と5歳の息子と暮らしています。フリーランスになって約10年、ライターなどいくつかのお仕事をさせてもらっています。
何度かアメリカのカリフォルニアを訪ね、自然との共生や進んだ文化に惹かれています。食材はできるだけ無添加・無農薬を選ぶ傾向があり、目の前の海に癒やされながら仕事に没頭しています。
知人の紹介で「シンケンの住まいづくりを言葉で表してほしい」という依頼をいただいたのがシンケンとの出会いです。家についてほとんど知らない自分でいいのだろうか? と思いながら、広報の森畑さんにいざなわれ、シンケンの家と、住まい手さんの夢に出会っていくことになりました。
このページを見てくださっているみなさまと一緒に、シンケンの住まいづくりを知っていきたいと思います。