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“創作する我が家”の8年
愛してやまない、ふだんの暮らし
“創作する我が家”の8年
愛してやまない、ふだんの暮らし
胸に爽やかな家と出会いました。
“創作”する我が家
訪ねると、眞さんが早速案内してくれる。
正面の外壁を「いい色ですね」と触れると、「この味が、いいんですよ」と、やっと出てきたという風合いが愛おしそう。
眞さん
売地のときは、敷地を平らにするための擁壁でぐるりと囲まれていたんです。
それをくずして、壁の上まであった土も削ってなだらかな庭に。
その奥に、家とつながるアトリエがある・・・
このプランを見たときは、もう、「ええー!」と鳥肌が立ちましたよ。
“平らな土地をつくるための壁”を取り壊して 傾斜にしてしまうなんて、本当に大胆な発想で。
その場所を見事に生かす“土地の見方”に、今回もまた新鮮なおどろきがある。
眞さん
木の塀は最初はなくて、外との接点に緩急をつけたくて、シンケンをまねて自分でつくりました。
内側にベンチがあって、家を眺められるんですよ。どうぞ座ってください。
眞さん
とにかくいろんな所に“居場所”をつくるのが楽しくて。
先輩に「また?」と言われながら、つくっちゃいます(笑)
「やっぱり今も先輩の方がセンスが上。配置の決定は先輩です」とおどける眞さん。
眞さん
朝はコーヒー、夕方はビールを片手に、家のまわりをぐるりとまわって、あちこち腰掛けて家を眺めて。
週末はあそこを整えよう、と考えたり。蚊に刺されても気にしないで過ごしちゃいますね。
続いて、アトリエに。
眞さん
夫婦ともに美術を学んでいたので、“アトリエのある家”に住むのが ふたりの大きな夢だったんです。
陶芸や、家づくりの作業をする場所で、定年退職の後は展示スペースや創作教室にするアイディアもあるそう。
眞さん
このボード、規格に合わせて自分でつくりました。
似ている道具がまっすぐ並んでいるだけなのは、ちょっとかっこわるいと思ってずらしたり、浮かんできた絵を描いたり。
こういうことをいっつも考えてますね(笑)
ひとつひとつに理由があり、見ていておもしろい。そこかしこにおふたりの工夫がある。
なかなか進めない、楽しい探訪は本宅へ。
“小さな家”を、楽しく住みこなす
シンケンの家の「外を取り込む大きな窓」が、空間を広く感じさせてるんだな。
すっかり、その感覚になじんできたぞ。
「小さな家を上手に住みこなすって、実はなかなか簡単ではないんです」とシンケン・広報の森畑さん。
なるほど、「暮らしで使う物」はあるから、物理的な広さとの兼ね合いはやっぱりある。
だから、たくさんの工夫がされてるんだ。
ぱっと目に入るのが、シンケンの家の特徴のひとつ、「50cm間隔で“小柱“がある壁・PLAY WALL」。
自在に、隅々まで活かされ、そして楽しんでいるのが伝わってくる。
それだけの空間で、こんなにいろんなことができるんだ。
書斎やキャビネットまである。
「アイディアが湧いて、試して、そしてまた・・・」という 楽しい実験をいくつもしている姿が浮かぶ。
眞さん
ここは全部、“絵の感覚”なんですよね。色をたくさん使って、油絵や水彩画のように重ねていく。色の判断は先輩です(笑)
一番最後につくったのは、テレビの下の白いタイル。真っ白でいいのか?って先輩と相談して、結局えんぴつでちょっとよごしてニュアンスをつけたり。
「小さい家だからよくない」ではなくて、ご夫婦にとっては「小さくて楽しい、想像力をかきたてる器」なんだな。
キッチンのタオル掛けや、コードを隠すためのカバーには、重厚感のあるガス管が。
眞さん
全然、ガスは通ってないんですけど、柱の中を通って、壁から外に出て、みたいにいちおう見た目が成り立つようにしてて(笑)
「ここは自分でつくって・・・」「元々ここまでだったのを自分で足して・・・」というお話を聞いていると、家ってこんなに自由なんだ!と思うし、自分も家のあの部分を加工してみたい、という気持ちがむくむくと。
シンケンと、本当にいい出会いだったんだ。
“我が家という作品”づくりに参加する
眞さん
この家は“作品”だと思っています。シンケンがつくった作品を“所蔵”しているような。だから、家を眺めるときも、“自分ち”というより、作品を見てる感じで。
時間とともに移り変わる作品づくりに、私たちも参加してる感じですね。
そしてそこに“参加”している。
暮らしそのものが表現でもあって、だから、草刈りも含めて“大変なこと”ではなく、楽しみのひとつなんだ。
眞さん
シンケンから“新しい見方”を教わったように思っていて、暮らしているとアイディアがどんどん湧くんです。
全部説明してたら日が暮れちゃうくらい、考えて考えて、つくってますね(笑)
そんな風にしてたらある日、先輩が庭で急に「やっぱりうちが最高だー!」って両手を挙げてて!
香織さん
言ったっけ(笑)
住んで8年になりますけど、まだやりたいこと出てきますね。終わりがない感じ。
“日常茶飯”という言葉が好きで、この空間を「日常茶飯所」と呼んでみてます。
特別じゃなくて、ふだんの場として。好きなものを置いて、かしこまってない場所。
眞さん
そうそう、それ。ふだんが一番で、だからやっぱりうちが最高なんだよね。
“住まいの工夫”が、そこかしこにある中島さん宅。
それは「毎日どんな光景を目にするか」が、“暮らしの中で感じる豊かさ”に すごく深くつながっているからなんだろうな。
これまで伺ったお宅からも、その大切さを受け取ってきた。
家って、仕事をして帰ってきて ただ休むだけの場所じゃなくて、自分の好みや感性を表現して、楽しむ場所でもある。
それを全身で感じて、からだが喜ぶような時間だった。
眞さん、香織さん、ありがとうございました!
取材を終えて
人生と住まいは“ひとつなぎ”
どこまでをシンケンがつくって、どこからがご夫妻の手によるものか、わからないくらい一体となった住まい。
「つくって暮らす」こと、「我が家に参加する」こと、なんて楽しいんだろう!とずっと感じていました。
もともとの創作の想いと技術があってこその仕上がりだとも思いますが、自分が願うような形に向け、家に手を入れていく楽しさが胸に残ります。
ただ便利にするのではなく、そこに自分の“好み”や“審美眼”をもって取り組むからこそ、より一層愛着が増していく。
中島さんご夫妻のことを知ろうと思ったら、この“作品”を語らずして、その全体は知り得ない。
ひとと住まいとは、こんなにも一体になるのだと実感します。
・場所:鹿児島県姶良市
・敷地:621㎡(188坪) 1階:36㎡(11坪)2階:36㎡(11坪)/ アトリエ44㎡(13坪)
・完成:2012年8月
”私”が知った
シンケンの住まいづくりメモ
“構造”を活かした収納と表現・「PLAY WALL」
ふつうはこの「小柱」の上から内装材を設置しますが、あえて“奥行き”を残して、住まい手が活かせる余白と“キャンバス”のようなものにするために生まれたのが「PLAY WALL」でした。
壁面の広がりは、“収納のための余裕”と、日常の景色に“自分色を差す”ために機能する、ふところ深い空間になります。
設置するための“棚板”はキットになっていて、22の種類があり、DIYをこれから始めたい人も手軽に試せるそう。
PLAY WALLを活かしてみるところから、「家を楽しむ」を始められそうですね。
※PLAY WALLー実用新案登録済み(第3160261号)、株式会社シンケンの登録商標です
“構造材が見えている”、安心と、工夫のしやすさ
“隠しごとがない”安心とともに、“木”の素材の特性を活かしていろんな加工ができる可能性があります。
よく伺うのは、「子どもの成長に合わせて空間の仕切りを変える」ことや、「趣味の道具を設置する」ことなど。
思い描いたように、また、必要に応じて柔軟に対応できるのは、構造材が見えている“とっつきやすさ”があるから。
見た目の美しさ・安心感とともに、暮らしのための工夫を可能にしてくれる、大切なポイントです。
取材している"私"について
はじめまして。鹿児島県 霧島市の海の目の前、友人たちと改修した古民家に、妻と5歳の息子と暮らしています。フリーランスになって約10年、ライターなどいくつかのお仕事をさせてもらっています。
何度かアメリカのカリフォルニアを訪ね、自然との共生や進んだ文化に惹かれています。食材はできるだけ無添加・無農薬を選ぶ傾向があり、目の前の海に癒やされながら仕事に没頭しています。
知人の紹介で「シンケンの住まいづくりを言葉で表してほしい」という依頼をいただいたのがシンケンとの出会いです。家についてほとんど知らない自分でいいのだろうか? と思いながら、広報の森畑さんにいざなわれ、シンケンの家と、住まい手さんの夢に出会っていくことになりました。
このページを見てくださっているみなさまと一緒に、シンケンの住まいづくりを知っていきたいと思います。