暮らしの見学会とは?
【 築28年の住まい便り 】
◻︎ 灯りのもとに集う
新しい年になり、早くも二月となりました。冬至は過ぎましたがまだまだ夜は長く、日中も冬らしい寒さです。
そんな冬は、家のなかで過ごすことが多く、灯りに目がいきます。
ダイニングの丸テーブルを照らすランプは、北欧のメーカーのもの。独特なフォルムから上下に溢れる優しい光は、ざわめく心を落ち着かせてくれるようでいつまでも見ていたくなります。
曇りや雨、雪の日など、昼間に集熱ができなかった夜は、薪ストーブに火を入れるのが楽しみの一つ。カーペットの上に小さなちゃぶ台を置いて炎を眺めながら、子供たちとおしゃべりをしたり、カードゲームに興じてみたり、時にはお酒とおつまみを出したりして…
夜の帰り道は、家の経年とともに大きく育ったクスの木越しに、ダイニングの上の窓からオレンジ色の明かりが見えるとホッとして、我が家に帰ってきたなぁと実感できます。
照明の配置や見え方も、暮らしを彩る大事な要素の一つ。ぜひ見学会でご覧ください。
◻︎ 心掻き立てるスタディハウス
4人の男の子が巣立って、かつての喧騒が消えて久しい。何かと持て余し気味の我が家を「もう一度心を掻き立てるような暮らしに戻したい」との想いが頭をもたげ、仕事柄持ち合わせた好奇心も手伝って、庭先にコンパクトな「終の棲家」を、と思い立ったのが2016年。
どうせなら「シンケンスタイルとは何かを〝議論する場にする 〟」ことを申し合わせて、計画はプランナー志望の社員(自由参加)の設計コンペからスタートした。
2棟の建築には 次の世代を担うスタッフへのメッセージとして随所にシンケンイズムが盛り込まれ、皆でそれを「研究」「分析」「吟味」「考察」する、じっくりと「観察する家」として「 STUDY HOUSE 」と命名した。
住まい創りを単に、意匠 デザイン 素材と構造 使い勝手や温熱環境ごと と考えるに留めず、人間の「人情の機微」を知り、これを深める場として活用してもらいたい。
住まいの究極の目的は「住まい手の心を掻き立て 悦びで満たすこと」
その設えを持って「シンケンスタイル」と 我々は呼ぶことにしよう。
◻︎ はじめに引いた線
同じ敷地に建つ2軒の住まいの間に明確な境界は無い
…が、心理的には互いに超えたくない線がある。
2つの世帯をどう繋げるか?
その塩梅を推し測り、
一本の線を引くことから この計画が始まった。この線は、これから長い暮らしの要の役割を担うだろう。