築27年の住まい便り🍁
◻︎ おおらかな落葉樹の下で
夏は蒼青と茂り、アプローチを涼しくしてくれていたコナラの木のトンネル。秋が深まり、黄金色に移り変わり始めました。南の庭にあるケヤキの木も、ハラハラと葉を落とすこの季節。落ち葉を踏み締める時の独特の音や感触、澄み切った空気が好きで、花の観察がてらふらりと庭を歩くのが楽しい季節です。
我が家では、落ち葉掃除が家族行事の一つ。ときには親戚も呼んで大人数で落ち葉を掃き集めます。みんなそれぞれに落ち葉の山を作ったり、一輪車でせっせと運んだり。早々に飽きてしまう子どもたちも、大人の一生懸命な様子に思うところがあるのか「お水屋さんですよ〜」と水分補給の仕事を自ら買って出てくれたり。外気は冷たいですが、体はポカポカ、心は穏やかになってきます。掃除のあとは、家の中で一休み。労を労いつつ、そのまま食事とお酒も加わった楽しいひと時になることも♪
なんてことはない日常の中で、四季の移り変わりを自宅で楽しめる。デジタルにはない手触りや匂い、体験をこれからも子ども達と育めたらと思っています。
自然と共に住む暮らしをお考えの方や、計画中・建築中の方、住まい手さんもぜひお気軽にいらしてください。
◻︎ 心掻き立てるスタディハウス
4人の男の子が巣立って、かつての喧騒が消えて久しい。何かと持て余し気味の我が家を「もう一度心を掻き立てるような暮らしに戻したい」との想いが頭をもたげ、仕事柄持ち合わせた好奇心も手伝って、庭先にコンパクトな「終の棲家」を、と思い立ったのが2016年。
どうせなら「シンケンスタイルとは何かを〝議論する場にする 〟」ことを申し合わせて、計画はプランナー志望の社員(自由参加)の設計コンペからスタートした。
2棟の建築には 次の世代を担うスタッフへのメッセージとして随所にシンケンイズムが盛り込まれ、皆でそれを「研究」「分析」「吟味」「考察」する、じっくりと「観察する家」として「 STUDY HOUSE 」と命名した。
住まい創りを単に、意匠 デザイン 素材と構造 使い勝手や温熱環境ごと と考えるに留めず、人間の「人情の機微」を知り、これを深める場として活用してもらいたい。
住まいの究極の目的は「住まい手の心を掻き立て 悦びで満たすこと」
その設えを持って「シンケンスタイル」と 我々は呼ぶことにしよう。
◻︎ はじめに引いた線
同じ敷地に建つ2軒の住まいの間に明確な境界は無い
…が、心理的には互いに超えたくない線がある。
2つの世帯をどう繋げるか?
その塩梅を推し測り、
一本の線を引くことから この計画が始まった。この線は、これから長い暮らしの要の役割を担うだろう。