暮らしの見学会とは?
◻︎ 雑木林の中で暮らす
築29年のわが家は、まるで雑木林の中にあるような住まいです。もちろん本当の雑木林ではありません。道路と住宅が並ぶ街並みの中にありながら、大きく育ったコナラやクスノキが家を包み込み、よく目を凝らさないと見過ごしてしまうほど緑に溶け込んでいます。
近年の夏は、私が子どもの頃とは比べものにならないほど暑くなりました。それでも、照り返しの強いコンクリートと、木々がつくる木陰や芝生の庭では、暑さの感じ方がまったく違います。暑い日に車を停めるとき、少しでも日陰、できれば木陰を選びたくなった経験はありませんか。木陰が涼しく感じられるのは、葉が水分を放出する「蒸散」の働きによって、周囲の空気が冷やされるためだといわれています。
庭の芝生も、真夏でも裸足で歩けるほどやさしい温度を保ってくれます。家とともに育つ植物は、心地よい木陰をつくり、実りや花を咲かせて季節の移ろいを楽しむ喜びをもたらしてくれます。日々の暮らしを少し豊かにしてくれる、大切な存在です。
暑い季節だからこそ、木々がつくる緑のトンネルをくぐり、木陰の心地よさをぜひ体感しにいらしてください。
なお、我が家には家族の一員として3匹の猫が暮らしています。猫がおりますことを、あらかじめご了承ください。

◻︎ 心掻き立てるスタディハウス
4人の男の子が巣立って、かつての喧騒が消えて久しい。何かと持て余し気味の我が家を「もう一度心を掻き立てるような暮らしに戻したい」との想いが頭をもたげ、仕事柄持ち合わせた好奇心も手伝って、庭先にコンパクトな「終の棲家」を、と思い立ったのが2016年。
どうせなら「シンケンスタイルとは何かを〝議論する場にする 〟」ことを申し合わせて、計画はプランナー志望の社員(自由参加)の設計コンペからスタートした。
2棟の建築には 次の世代を担うスタッフへのメッセージとして随所にシンケンイズムが盛り込まれ、皆でそれを「研究」「分析」「吟味」「考察」する、じっくりと「観察する家」として「 STUDY HOUSE 」と命名した。
住まい創りを単に、意匠 デザイン 素材と構造 使い勝手や温熱環境ごと と考えるに留めず、人間の「人情の機微」を知り、これを深める場として活用してもらいたい。


住まいの究極の目的は「住まい手の心を掻き立て 悦びで満たすこと」
その設えを持って「シンケンスタイル」と 我々は呼ぶことにしよう。
◻︎ はじめに引いた線
同じ敷地に建つ2軒の住まいの間に明確な境界は無い
…が、心理的には互いに超えたくない線がある。
2つの世帯をどう繋げるか?
その塩梅を推し測り、
一本の線を引くことから この計画が始まった。この線は、これから長い暮らしの要の役割を担うだろう。


