“桜島をひとりじめ” 青空テラスがある家 | シンケンスタイル - 福岡・鹿児島・熊本
桜島をひとりじめ、青空テラスのある家

“桜島をひとりじめ” 青空テラスがある家

「はじめは100%冷やかしのつもりでシンケンの見学会に行ったんです」
なのに、気がついたらシンケンで家を建てていた―。何とも不思議なご縁に導かれ、鹿児島の大地に根を下ろした中牟田祐樹さん・友恵さんご夫妻。ふたりの住む家は、鹿児島市吉野にある住宅街の一角。隣家も近く、一見「ありふれた町」の中にある。

しかし、ひとたび家の中に足を踏み入れると、状況は一変する。

真っ先に目に入るのが、こだわりの土間玄関と、数多くの植物や磨き上げられた革靴。正面の壁はウォールプランツや観葉植物で彩られ、「PLAY WALL」にはサボテンや多肉植物などが肩を寄せ合うように並ぶ。その光景だけを見ると、どこかのセレクトショップに遊びに来たのかと錯覚するほど。

  • 玄関ドア
  • 玄関の板土間

土間空間を抜けると、キッチンとリビングにしつらえられた大きな窓とテラスが姿を現す。そしてその奥には、無限に広がる空と緑と、圧倒的な存在感を放つ桜島―。
まるで地球に抱かれているかのような雄大な景色は、どこまでも深く美しい。視線を落とせば、テラスのまわりには野生化したキバナやコスモスが咲き乱れている。思わずため息が漏れる、圧巻の眺望だ。

「こんな家に住みたい」

絶景を望む土地

そう思う人もきっと多いはず。しかし、この家に住む祐樹さん・友恵さんは、そろって県外出身。そんなふたりがなぜ、鹿児島に家を建てることになったのか―。

「転勤族なので家は買えません」が、常套句だったはずが―。

2011年に結婚したご夫妻は、和歌山、長崎、愛知など、夫・祐樹さんの転勤に伴い全国を転々としてきた。そして2020年の夏、祐樹さんに辞令が出る。次の転勤先は鹿児島。福岡県出身の祐樹さんと兵庫県出身の友恵さんにとっては、縁もゆかりもない場所だ。つまり、今まで同様「転勤族としての暮らし」が続くはずだった。

しかし、シンケンの完成見学会に足を運んだことがきっかけで、転機が訪れる―。

植物たちが並ぶデッキ

もともとモデルハウス巡りや、建築家が建てた家を見たりするのが好きだったというご夫妻。友恵さんは、気に入った間取りや家の写真をノートに貼っては「もしいつか家を建てるときが来たら…」と思いを馳せていたそう。でも、それはずっと先のこと。営業マンに家を勧められても、「転勤族なので家は買えません」と断るのがいつものパターンだった。
そして、それは鹿児島でも同じ。引っ越し後、冷やかし100%で足を運んだシンケンの完成見学会。そこで出会った営業担当者にも「転勤族なので、買いません」と、しょっぱなから断り文句を発していた。

板土間から続く多イニング

ただ、家自体はとても気に入った。クロス(壁紙)が貼られた家が好きではないというふたりにとって、柱や梁が見える「構造あらわし」の家は魅力的に映った。「窓が妙に低い位置にあるな」と思って理由を尋ねると、座ったときに隣家を気にせず外の景色を見るためだと説明され、「そんなことまで気にして家を建てるのか」と驚いた。

 

リビングダイニング

そして、約半年後。再びシンケンの見学会に行った際、件の営業担当者と再会。キャンプや鹿児島の話で盛り上がりつつも「転勤族だから買いませんってば」と常套句を発する祐樹さんに、営業・青木さんは「よかったら土地を見てみませんか?」と笑顔で誘ってきたそう。まぁ、見るだけならいいか…と思いつつ、ふたりは後日「買うつもりがない」土地を見に行くことに決めた。

一方、営業担当・青木さんの胸中にはある予感が芽生えていた。「転勤族だけれど、鹿児島を気に入ってくれていて、キャンプがお好き。しかも、シンケンの家に好印象を抱いてくれている。いい土地が見つかって、鹿児島に移住を決めたら、きっと楽しく暮らせるのでは」―と。

「ここに住みたい!」と“運命”を感じるも、移住者ならではの問題が。

「この土地を見た瞬間に、あ、ここに住みたい! と思ったんです」(祐樹さん)

2021年7月。蒲生など数か所の土地を見た後にやってきたのは、鹿児島市吉野にある土地。住宅街の中にあり、土地自体も広いわけではなかった。しかも、崖の上に位置しているという「クセのある土地」。斜面には雑木林が鬱蒼と広がり、空に続く視界を遮っていた。しかし、営業・青木さんは「この雑木林を伐採すれば、桜島が綺麗に見えます」と太鼓判を押した。シンケンは、すでにこの場所が最高の原石であることを見抜いていたのだ。

家が建つ前の敷地
桜島が覗く“原石”の土地。ふたりが家を建てたのは右側奥。

さらに、吉野は中心街まで車で20分足らずと近く、近隣にはスーパー、飲食店、銀行など生活に必要な買い物エリアが充実。バスの本数も多く、近年人気上昇中の町だ。
利便性は申し分ない場所。ただ、祐樹さんの心を真っ先に捉えたのは、土地の法面(崖に繋がる斜面)だった。段々畑のように、下へ、下へと続いていく。奥には沢があり、進むほどに発見がありそうな未開の地。「探検したら楽しそうだな」とワクワクした。そして、祐樹さんは「ここに住みたい」と強く思った。

住宅地の先に建つ

ただ、そう簡単にはいかない。自分たちは、いずれ鹿児島を去る身。さらにこの時、妻の友恵さんには、祐樹さんと同じだけの熱量はなかった。土地そのものは気に入ったものの、現実的に考えて、鹿児島に家を持つのは無理だと思った。しかし、諦められなかった祐樹さんは、友恵さんが仕事に行っている間に「なぜこの土地に住みたいか」という資料をパワポで作成。帰宅後、友恵さんに必死にプレゼンした。友恵さんは「暇やったんかな…?」と思いつつ、この日を境に少しずつ覚悟を固めていく。

眺望も利便性もよく、住環境が整っている場所。しかも、シンケンの家。

桜島キッチン

「ここなら、将来的に地元に帰ることになっても、誰かが欲してくれるかなと思ったんです」(友恵さん)

この時、シンケンはこの場所を2区画に分けて家を作る計画を立てていた。そして驚くべきことに、そのうちの1区画には営業担当・青木さんが自身の家を建てようと決めていたのだ。
「僕からプロポーズするような形で『お隣さんになりませんか?』とお声がけしました(笑)」(営業・青木さん)

そして、2021年9月、ふたりは土地を契約。雑木林の伐採や、農地転用などの手続きを経て、翌年2022年春に着工、10月に完成した。

いざ始まったシンケンの家での暮らし。そこにはふたりの「らしさ」が全開

現在、引っ越しをしてから丸2年が経つ。家の中は、手作りの家具や作業台など、すでにふたりの「らしさ」が全開。共に暮らすたくさんの植物たちは、テラスや窓辺でたっぷりと陽を浴び、のびのびと育っている。

  • 植物も喜ぶ明るいリビング
  • 心地いい窓辺に鎮座する植物

「シンケンの家はDIYし放題。余白が多いので、板をもらってきて、収納家具を作ったりしています」(祐樹さん)。

見渡す限り、ふたりのセンスやこだわりで満ちた家具や小物たち。そのどれもが絶妙なバランスのもと並べられていて、シンケンの家や空間と見事に融合している。洗面所の照明や、スイッチプレートは祐樹さんが取り付けた。なんと、シンケンの家に引っ越してから「電気工事士」の資格を取得したのだという。

洗面からランドリーへ

「これでどこでもいじれます」と豪快に笑う祐樹さん。2階の「おこもりスペース」の壁面にはお気に入りの道具を飾り、革製品づくりも楽しんでいる。はじめは鹿児島に家を持つことに消極的だった友恵さんも、この家と斜面をこよなく愛す。

  • 美しく並ぶ革細工の道具たち
  • ご主人の書斎

「風が良く通るので、夏も涼しく、冷房がいらないくらい。扇風機2台でなんとかなることも多いんです」

2階のフリースペースに設置したハンモックに腰かけると、窓の先には黄金色に輝く錦江湾が―。心地よい揺れと共に、無になりボーッとできる贅沢な空間。友恵さんは「まさか海まで見えるとは思わなかったです」と、にっこり。この家に住むようになってから、イライラすることが減って、おおらかになったという。

2F、ハンモックにゆられて

趣味を通じて出会った友人たちがBBQをしに遊びに来たり、泊まりにきたり。今では「お隣さん」となった営業・青木さん家族と一緒にご飯を食べたり、シンケンのスタッフたちと「鶏刺し会」をしたり…少しずつ広がっていく人の輪を大切にしながら、ふたりは鹿児島での暮らしを楽しんでいる。

「これから移住する人」へのエール!

祐樹さんが「(鹿児島に)来てみりゃわかるよ! どうにかなります!」と力強く言うと、友恵さんは「働き方の確保さえできれば大丈夫。移住=一生その土地に住む、と思うとしんどいから、そうではなくてもっと気楽に考えたらいいと思います」。

桜島をひとりじめ、青空テラスのある家

ふたりは、鹿児島の暖かい気候や人の優しさ、温泉が多いところが気に入っているそう。火山灰や、(場所によって)独自の交通ルールがあることには驚いたけれど、それにも少しずつ慣れてきたところ。今ではダイナミックな桜島の噴火を、お気に入りのテラスから眺める日々。

 

ちなみに夫・祐樹さんは、いまだ転勤族(会社員)のまま。つまり、この先、再び転勤になる可能性も。「そうなったら仕事辞めちゃおうかな? どうしようかな」と茶目っ気たっぷりに笑う。

結果的にふたりは移住しようと思って移住したわけではなく、気が付いたら移住していたことになる。それもまた、人生の妙であり、醍醐味だ。決して設計図通りにはいかない人生を、ふたりは「冒険」するかのように楽しんでいる。

ウォールガーデンのお手入れ

「草刈りをしたあと、テラスでビールを飲むのが最高」(友恵さん)

崖の上にせり出すようにして作られたテラス。その上に立つと、自然と深呼吸をしたくなる―。ここが普通の住宅街だと思うと、この眺望は奇跡としか言いようがない。

 

縁もゆかりもない土地に移り住む(しかも家を建てる)ということには、大きな勇気も決断もいる。だけど、祐樹さん・友恵さんの生き方を見ていると、先々のことばかりではなく、目の前の「今」を愛でて楽しんでいこうという気持ちが生まれてくる。

「今後は斜面に階段も作りたい」、「斜面の下の探検も進めたい」―。
中牟田ファミリー×シンケンの暮らし×斜面愛は、今後も続いていく。

木の家の外観

取材・文/本山聖子  取材日/2024年 秋