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2017.02.22

築9年目のお手入れのこと ~雨が似合う軒の家~ 

暮らしの見学会訪問記

2016年11月27日 雨
花のように並ぶ傘の向こうに、銀鼠色(ぎんねずいろ:銀色のようなほんのり青みを含んだ明るい灰色のこと)のやさしい木の家が静かに佇んでいました。

【雨が似合う家】

道路から玄関までの小路、足元に目を見やるとしっとりと雨に濡れた深緑色の苔と、黄色いつわぶきの花がおしとやかに出迎えてくれました。
深い軒のかかった玄関ドアを開けると、木の香りとともに穏やかな空気が溢れてきます。
奥様の笑顔に迎えられ歩を進めると、全開の窓の向こう 軒先から落ちる雨雫の音も心地いい やさしい空間が広がっていました。
雨で良かった…そう思う見学会はなかなかありませんが、この家は「雨で良かった」と感じさせる家でした。

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【生活がつくる美しさ】

室内の床はやわらかな光沢をまとい、あらわしになった柱や梁は自然な飴色に変わっています。
家そのものの経年の美しさと同時に、住まい手が重ねてきたていねいな生活とその人柄を感じさせます。
飾り立てた美しさではなく生活に必要なものがしっくりと家になじみ、生活そのものが醸し出す美しさがありました。

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家の中をぐるりと回らせていただくと、いつも目線の先には、心をやさしく撫でられるような心地いい風景を切り取る窓があります。
家の周りは特別に景色が良い場所ではありませんでしたが、庭の木々によって窓の向こうの風景が美しく整えられています。

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1階の奥の方、廊下の突き当りに落ち着いた雰囲気の地窓。歩を進め、空間が伸びる左手をのぞくと…お手洗いでした。
「ふだん、使わないときは開けたままなんです」と、奥さまが教えてくれました。

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ひととおり家の中を見学させていただいた後、住まい手であるご主人と奥さまにふだんの生活の様子を教えていただきました。

【お手入れのこと】

— 床など、室内の木の質感がとてもきれいですが、何か特別に手入れをされているんですか?

奥さま  「ふだんは特に何もしてないですよ。掃除機をかけて、たまに市販の床用ワイパーを使ってるぐらいです」
「でも、床に一か所だけシミになってしまったところがあって・・・。水がこぼれたのを一晩気づかずにいたら、こんな感じになってました(笑)」
と、おおらかな笑顔で話してくれました。

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奥さま 「共働きなので、こまめに手入れできないんです。でも、一つだけ心がけているところがあって、洗面のカウンターは、木でできていているので使ったあとは、必ず台拭きで拭くようにしています。それから、何年かおきに塗装もしています。塗装と言っても布に塗料を付けて拭くだけなので大したことではないですよ」

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【木のお風呂】

— 木のお風呂はお手入れが大変そうですが、ふだんのお手入れはどうしていますか。

奥さま 「特別なことはしてませんが、いつも換気は気を付けています。風呂桶の縁とか、ところどころ黒ずんできたところもありますが毎日使っていれば仕方ないですよね」

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【暖房のこと】

— 吹抜けが大きくて窓も大きいと冬は寒そうですが、暖房はどうされていますか。

ご主人 「ふだんは、ソーラーシステムの床暖房だけで大丈夫ですよ。冷え込む日は石油ストーブを使っていますが、ひと冬で18リットルの灯油缶を1回使い切らないぐらいです」

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【木の外壁のこと】

— 外壁やウッドデッキのお手入れは何かされていますか?

ご主人  「外壁もウッドデッキも建築した時から無塗装で、特に何もしてないですね。たぶんこれからもそのままだと思います。傷んでくるところもあるでしょうけど、この雰囲気が好きですし、傷んだら傷んだとこだけ交換できるみたいなので、そうしようかなと思っています。」
「でも、実は最初はガルバリム鋼板の外壁がいいと思ってたんですよ。それで現場監督の横井さんに伝えたら、『せっかくこの場所で建てるなら、木がいいですよー』って木の外壁を勧められて(笑)。今では年々味が出てくる、この木の外壁をとても気に入っています。」

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ご主人に振舞っていただいたコーヒーをいただきながら、お手入れのこと、ふだんの生活の様子などたくさんのお話を聴かせていただきました。

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雨に濡れた銀鼠色の外壁、深い軒、その向こうの大きな窓の中に、飾らない 心地いい暮らしがありました。
これから10年、20年…とさらに深みを増し、経年の美しさが幾重にも重なっていく・・・そんなすてきなお住まいでした。

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DATA
2007年9月完成
敷地面積:117坪
延床面積:38坪
建設地:南九州市川辺町

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